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時は翁忍十八年――――――。神州八国を吹き荒れた戦乱の嵐が平定され、各地でくすぶる小競り合いも落ち着きをみせ、ようやく平和な時代に収まろうとしていたその年。忍び惣国の一つ星宿(せいしゅく)の里に住む忍び集団・砕牙衆(さいがしゅう)の忍びに、先の大戦の原因でもあり、強大な力を持った荒神達が再び降臨したとの噂が諸国を飛び交う。荒神(あらがみ)を憑依させた忍び・荒人神(あらひとがみ)の力はすさまじく、各地の忍び惣国はその軍事的バランスが崩れる事を恐れ、その存在を亡き者にしようと何度も星宿の里に攻め込むものの、手練れの忍び達が全て返り討ちに合い、誰もが荒人神の力を手に入れるのは無理だと思い始め、その力がまた大乱の引き金になるのを恐れ初めていた。そんな中、星宿の里にほど近く長年敵対を続けてきた虚宿(きょしゅく)の里のはずれにある骸谷(むくろだに)に根城を構えるはぐれ忍・屍衆(かばねしゅう)を束ねる九頭神幻内(くずがみげんない:主人公【※姓名変更可能】)の元に、里の女頭領である御咲珠茂(おさきたまも)がやってくる。敵を倒すにも正攻法を好む星宿の里とは違って、目的の為ならどのような卑怯な手段も使う忍びらしいといえば忍びらしい虚宿の里の中にあっても、禁呪や秘法により自らの身体をも異形と化し、女を手込めにしては快楽漬けにして手駒にするような薄汚いやり方を行う屍衆は同族の忍びからも忌み嫌われており、珠茂の来訪は幻内にとってもたまさかの事であった。珠茂は荒人神の復活の話をし、その力を手にいれられれば幻内達はぐれ忍を中忍以上の待遇にしてやろうとつげるも、荒人神のすさまじい戦闘力を知る幻内は割に合わない取引だと取り合わなかった。しかし、珠茂の口から誰にも知られていない事実として、今回の荒人神は女の忍び……すなわちくノ一であり、豊満な肢体をもつ絶世の美女だと告げられて気が変わる。「なるほど、それで俺の房中術の出番というわけだな……いいだろう、そのくノ一の名はなんという?」その強く美しきくノ一の名は、朱雀(すざく)と呼ばれていた――――――
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