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妖怪。それは遙か昔から日本に存在する、人間の理解や想像を超える、奇怪にして異常、不可思議なる力を行使する非日常の象徴……。と、言われていたのも今はもう昔の話。そう遠くない未来の日本、妖怪と人間は共存の道を歩んでいた。店を覗けば河童の店員が奥様方を接客し、公園に目を向ければぬりかべが子供達とたわむれ、病院ではがしゃどくろの医者がお爺さんを整骨中、ふと空を見上げれば一反木綿のデリバリーが会社の窓からサラリーマンに届け物。非日常が当り前の日常になっている時代、妖怪は人と共存する事で生活の安定を得、人間は妖怪の持つ不可思議な力である妖力を研究し、その恩恵を受けて日々の安寧を得る。そんな近未来の日本にある、研究都市・白夜島に『赤城和登』は住んでいた。幼い頃より妖怪達と暮らし、妖怪達と共に生きてきた和登は、一瞬一瞬を全力で楽しもう、をモットーに、幼なじみの静音と共に白夜島内の白峰学園へと入学する。今まで通りの騒がしくも平穏な日々が続く、そんな期待と共に。だが迎えた入学式の当日、和登は、そこで一人の少女と再会する。かつての自分と共に遊び、そして自分を救ってくれた、もう一人の幼なじみ。鬼の少女、伊吹雅に……。それは、騒がしくも平穏な日々の終わり。更に騒々しく大賑わいの日々の始まり。鬼に天狗、妖狐に座敷童に雪女。個性豊かな妖怪達と、それに勝るとも劣らない癖の強い人間達。生まれて膨れて弾けて混ざり合う恋模様。これはヒトとアヤカシが共存する、非日常的な日常の物語。頑張る誰もが幸せになれる、そんな日常のおとぎ話。
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