フォークソング
小池定路
――それは、どこにでもいるような、ふつうの少年少女の物語。タイプでもないのに、いつの間にか好きになっていたアイツ。見つめるだけで幸せになれる、胸の高鳴るような想い。距離を置きながら、かたくなな心を溶かしてくれる不思議な存在。ゆっくりと、軽やかに歌声は流れだす。フォークギターの調べに乗って。【鉄壁の幼なじみ――美夏と陽太】幼なじみの二人には、他者にはわからない積み重ねた時間がある。時が移り、場所が変わっても、共有した時間は消える事がない。ささいなすれ違いから生じた大きな亀裂も、たったひとことで埋まってしまう。二人の絆はきっと、どんな言葉より強い。【見つめている瞳――歩と道成】見つめるだけの恋。想い続けるだけの恋。決して成就されることのない恋。だが、つぶやくだけで胸がいっぱいになる気持ちは、静かに降り積もっていく。見つめた時間の分だけ、きっと想いは深まっていく。【遠くて近いふたり――志帆と透】胸が張り裂けそうなときでも、会えばなぜか笑みをこぼさずにはいられない人。その微笑みはどこから来るのか。それに気付いたとき、二人を隔てていた距離は、「信頼」という名の絆に変わる・冷たい言葉もきっと、二人の信頼の証。 |
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